この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者様は、15年ほど前の協議離婚の際、妻を子の親権者とすることとし、養育費の額と終期を20歳とする内容を定めた公正証書を作成して離婚しました。その後、子供が大学へ進学することになり、別れた元妻から授業料分の増額と、20歳までとしていた支払期間を22歳までに伸長する、とした内容の養育費増額請求の調停を申立されました。相談者様は再婚しており新しい扶養家族もでき、これ以上増額に応じる余裕はない状況でした。相談を受け、今回のケースでは「養育費変更の基礎とすべき事情」にはあたらないとご説明し、少しでも要求が減額になれば、とご依頼を頂くこととなりました。
解決への流れ
まず、弁護士が、裁判所に提出する書面において、相談者及び相手方は共に高校卒業程度の学歴であり、当然に専門学校に進学することが予想されたわけではないという理由から、相手方の要求に対し応じることはできないとの考えを明確に示しました。それに加えて、相談者はこれまで欠かさず養育費を支払っていたのであるから、相手方はこれまでに支払われた養育費の中で家計をやりくりし、進学費用及び授業料に備えておくべきであったと主張し、今回のケースは養育費の変更を求める為に必要な、「合意または審判の基礎とされた事情と現在の事情とを比較し、その費用としての中で予測できなかった事情」とは考えられない、と主張しました。結果、裁判官から授業料の支払及び支払終期の伸長は認めないという考えが示され、相談者は収入が増額しているものの、再婚して扶養家族が増えたことから算定表上養育費の増額は認めないという内容の審判が出され、終結しました。
離婚する際に子供がいる場合、養育費の金額を定めておくことは重要です。しかし、離婚した際に定めた養育費の金額を巡り、後に紛争となる事案は少なくありません。本件のような子供が大学や専門学校に進学することを理由とした養育費増額請求はその典型的な事例と言えます。子供が大学や専門学校に進学する事を理由とした養育費増額請求は認められるケースと認められないケースがあるところ、本件では増額すべきではない具体的な理由を丁寧に裁判所にアピールする事により請求を排除することに成功しました。養育費を巡るトラブルでは、養育費の増額を求めるケースもあれば、逆に再婚や新しい子供ができた事を理由とする養育費の減額を求める事案も多く存在します。当事務所では養育費を巡る紛争に数多く対応してきた実績がありますので、養育費でお悩みの方はぜひご相談ください。