この事例の依頼主
20代 男性
相談前の状況
息子が詐欺罪で逮捕されたと親御様からご相談があり、警察署に伺い接見をさせていただきました。大学に進学し一人暮らしをしていた息子様は、大学を休みがちになり、変わりに組織的な詐欺グループに勧誘され詐欺の一端を担わされていたという事案でした。息子様が関わっていた部分だけでも合計数億円の被害が明らかになっており、実刑も想定される状況でした。
解決への流れ
被害者が複数存在する事件でも、通常、全ての被害者について起訴されるわけではありません。本件では全体のうち6件の被害について捜査が進み、後に起訴されました。被害額の大きさや役割分担や組織的な犯行であり悪質と評価されるケースであったことから、実刑も視野に入る状況でした。もっとも、起訴された部分の被害者とは全て示談を成立させることができていました。また、当初から捜査協力をし全体像の解明に協力したこと、裁判においてしっかりと反省の弁を述べていること、親族が監督を約束していることから、「社会内での更生を許す余地がおよそないとまでは言えない」という形で裁判所に判断いただくことができました。結果、実刑を回避し、懲役3年、執行猶予5年の判決となり、無事に日常生活に戻ることができました。
検察官からは長期の実刑の求刑がありましたが、被害者と全て示談が成立していること、反省悔悟の念が強いことや家族の協力が得られることをしっかりと裁判所に伝えることができ、執行猶予を獲得できました。刑事裁判においては、当初の弁解内容や供述態度も判決において考慮される要素となります。そのため、不合理な弁解を重ねたり、開き直った態度を取ることはするべきではありません。犯罪事実に争いがない場合は、捜査への協力を行うことも刑罰の軽減に繋がります。警察から連絡があったり、逮捕された場合には速やかに弁護士にご相談いただき、方針を決定した上で被害者との示談交渉や刑事裁判に向けた準備を進めていただく必要があります。