この事例の依頼主
男性
相談前の状況
ご依頼者のAさん(夫)とBさん(妻)には、子供がおられませんでした。ご夫婦は、資産として、Aさん名義でご自宅の土地建物を所有しておられましたが、他に大きな財産はありませんでした。このような状況で、Aさんは遺言作成のご相談に来られました。
解決への流れ
ご相談を受けた担当弁護士は、ご夫婦に、直ちに遺言書を作成すべきであると助言しました。というのも、仮に遺言書を作成せずにAさんが亡くなった場合、BさんだけでなくAさんのご兄弟も相続人となり、Bさんが住まなければならないご自宅の一部がAさんのご兄弟のものになってしまいます。しかし、Aさんが遺産を全てBさんに相続させる旨の遺言書を作成しておけば、ご自宅をBさんが1人で相続することができるからです。担当弁護士は、遺言書作成の必要性をAさんにご説明し、作成方法として公正証書遺言をお勧めしました。Aさんは公正証書遺言の作成を決意されたので、担当弁護士は、公証人と事前の協議をした上で、Aさんに公証役場にお越し頂き、担当弁護士自らが証人となり、公正証書遺言を作成しました。数年後、Aさんはお亡くなりになりましたが、ご自宅を含めたAさんの遺産は全て妻のBさんが無事に引き継ぐことができ、ご親族との紛争も避けることができました。なお、Aさんの遺言書を作成するに当たっては、Bさんが先にお亡くなりになる場合も想定して文案を作成したほか、念の為にBさんの公正証書遺言も作成しました。
お子さんのおられないご夫婦は、相続をめぐってご親族との紛争が生じる場合があるため、遺言書の作成を強くお勧めしています。このような場合には、ご夫婦のいずれが先にお亡くなりになっても良いように、十分に配慮した遺言書を作成する必要があります。お子さんがおられる方でも、ご自身の死後にご家族が遺産をめぐって争うことを避けるために、遺言書を作成されることを強くお勧めします。ただし、遺言書の作成にあたっては、相続人それぞれの立場や権利に配慮し、バランスのとれた誰もが納得する内容にする必要があります。このように、遺言書を作成するにあたってはさまざまな法的知識やノウハウが必要ですので、まずは実績のある弁護士にご相談ください。なお、公正証書遺言は自筆証書遺言よりも信用性の点で優れており、その他にもメリットがありますので、私は公正証書遺言をお勧めしています。公正証書遺言作成にあたっては、必ず弁護士自らも証人として立ち会いますので、ご安心して遺言書を作成して頂けます。