この事例の依頼主
30代 女性
相談前の状況
ご相談者様は,離婚を希望されている女性の方でした。夫婦の財産としては,ご自宅の土地建物が主で,これをいかに分けるかが問題となりました。さらにご自宅の土地建物は夫婦共有で,夫名義で住宅ローンが組まれており,当該ローンについて抵当権が設定されていました。
解決への流れ
夫は,自宅を出ていくことに応じていたため,ご相談者様が自宅の分与を受けるという流れでした。この際,住宅ローン,住宅の名義はそのままにして,ご相談者様が夫に代わりローンを支払っていく,あるいは夫が養育費の支払いに代えてローンを支払うという方法もあり得ます。しかし,若年の夫婦であったためローン完済は数十年後となること,ローンを完済しないと抵当権者は自宅土地建物の名義変更を了承しないことから,その方法だと,数十年後のローン完済時まで自宅の所有名義が共有のままで,完済時に,再度,自宅の名義変更をめぐって協議しなければならないこととなります。そのため,住宅ローンをご相談者様に切り替えて,離婚の際に合わせてご自宅の名義をご相談者様単独とするよう,夫及び金融機関と調整し,これを実現しました。最終的には,自宅を妻に財産分与する,住宅ローンを妻に切り替える手続をする,自宅について所有権移転登記手続を行う,といった内容の公正証書を作成して,協議離婚するに至りました。
離婚と不動産の問題として,よくあるのがペアローンや共有名義の自宅です。ローンや名義の問題を解決しないこともありますが,ローン完済が先であればあるほど,問題を先送りにしているとも言えます。もう離婚しようと考えている方と,ローン完済という遠い将来に,再び自宅をめぐって協議することは,困難といえる場合もあるのではないでしょうか。本件は,ご自宅の問題を,離婚時に解決できた事例です。